クラス替えや担任・引っ越しで環境が変わってしまったり人が変わることは、自閉症の子どもにおいて大きな不安になることがあります。
環境の変化についていけずに混乱したり、パニックになったりすることもあります。
私も、学校一年ごとに担任の先生が変わるたびに憂鬱感からため息をついていました。
- 今の先生と子供が相性がいい → 担任変わってほしくない
- 今の先生と子供の相性が悪い(担任の理解がない)→担任変わってほしい
結局のところ、先生によって支援や学級運営に対する方針がまるで違うために、自閉症に理解のない先生に当たってしまうと親も子供も苦労することになります。
しかし、人が変わっても変わらないものがあります。
それが支援ツール(モノ)なのです。
人や場所が変わっても、「支援ツールを手がかり」にして、できることが維持できるというのが支援ツールを自閉症の子どもが使うメリットでもあります。
【参考】発達障害への接し方きほんのき~まとめ~【できることからはじめよう!!】
モノを手がかりにすれば担任が変わっても対処できる
自閉症は変更・変化が苦手です
自閉症は、規則性のある物事を好みます。
これは、想像力の障害のために変化に弱く、不安になってしまうためです。
その点、規則性のある物事には一定の法則性が見られますから、次にどのようになるのか?とてもが予測しやすいのですね。
車を一列に並べるのは、「同一性保持」といいまして安心感を得るために行っているのです。
次に起きるできごともわからないと不安になるし、次があるのか?ないのか?わからない(知ることができない)と、「待つことも」(次があること)もわかることができません。
自分の中での秩序を保つために、「いつもと同じ・変わらない」ということにこだわるのは、それによって安心感を得られるからに他ならないのです。
変化しないものは安心感が得られる
自閉症の子にとって「いつもと同じ指示を受けとれる=モノ」は安心の拠りどころ
自閉症の子どもに変化しない「手がかり」を与えてあげましょう。
支援ツールを作って使うことは、自閉症の子どもにとって前述したように安心感を与えることになるのです。
自閉症の専門家であるK先生はこのようなことを仰っていました。
このK先生の「後からでも使えるので」というのは、発達において自閉症の子どもは「一度できるようになったことはずっとできる」と私たちは思いやすいのだそうです。
しかし、自閉症では情報処理のばらつきによってうまくできなくなることがあるのだと。
ですから、発達曲線(成長)は、下がったり上がったりしながら進んでいくんですよ~というグラフを見せながら勉強会で説明していました。
【参考】【自閉症Zoom勉強会】で得たこと~学ぶことを学ぶ~
自閉症の子どもが、環境の変化や不適応によってできる水準が下がってしまったときは、支援を増やしてサポートを多めにするのだそうです。
その点において、支援ツールというモノはよいところがあるんですよ、と教えてくださいました。
今回はモノのよさがテーマなので、多くは触れませんが、K先生の勉強会で「同じ言葉かけ」を使うことを推奨していました。
言葉だとどうしても、同じ意味でも日によって違う言葉をかけてしまって、自閉症の子どもが指示を受け取れていない可能性もあります。
そのような点からみても、やはりモノというのは親も楽だし、自閉症の子どもも自分から手がかりを探すという点においてもメリットがあるのだと理解しました。
モノを手掛かりにすると一貫性が保持されやすい。子どもが自分から「どうしたらいいか?」を探すためのきっかけにもなりやすい。
モノは勝手に変化しませんが、子どもに合わせて変える必要はあります
その通りです。
しかし、注意点として支援ツールを一度作ったら作りっぱなしで、子供の変化を把握せずに同じ支援ツールを使っていればいいわけではないということも、K先生は言っていました。
これ、書いてて思ったのですが、たぶん原文ではないですね。まあ、このような内容のことをおしゃられていたということです。
モノは勝手に変化することはありませんが、だからといって自閉症の子どもが成長・変化しないというわけではありませんよね。
支援ツールは、子どもの変化する状態に常にあわせていく姿勢が大事なのですね。
支援ツールは作りっぱなしではなく、子どもに随時、適合させる
環境があってないのに無理やりツールでなんとかしようとするのも危険
(サイズの合わない靴を無理やり靴ベラを使っても足は・・・)
半分あっているのですが、やっぱり最終的には「環境」が大きいと考えます。
- その環境はあっているか?
- その人(支援者)の支援は適当か?
- 子どもの支援ツールは子どもに適合しているか?
いくら素晴らしい支援ツールがあったとしても、パニックや常同行動や反響言語が増えたり不安感が高まっているのにも関わらず、ツールを使って実行させようとするのはよくないので注意してください。
まずは、環境設定、課題の難易度や情報の量の調節など「その場が自閉症の子どもにあっている空間か否か」を確認して修正するとよいと思います。
まとめ
支援ツールを作るのは面倒です。
面倒だし、作り方もわからないのですが、とりあえず適当に作ってみて、それから細かく調整すればいいと思います。
大わくで適当に感覚で作って、あとから微調整みたいな感じです。
療育をやってみて挫折する人というのは、1度でものごとを成功させようとしている人です。
ブログで挫折する人もそうでして、「1回でうまくいかせたい」のです。だから子どもが支援ツール使わないと「効果ない!」とかなります。
そもそも前提が「何度も試行錯誤して成功するものだ」ではなくて「この支援ツールを使えば一発で成功する」だから、支援に失望するんです。
靴のサイズのようにぴったりのものを作るのは、プロだって難しいと思います。
数値で測れないものを見ているのですから、何度も試す必要があるのですね。